2016年4月14日21時26分頃に熊本県と大分県で起きたまだ記憶にも新しい熊本地震。
多くの被災者が大変な思いを経験し、プロパンガス協会も熊本震災の災害発生時に多くの方々からご相談を頂きました。
多くの方は復興している中で1296戸3122人が仮設住宅で暮らしている現状があります。
4年間の仮設住宅の入居期間を設け、復興速度の問題として1年延長し21年4月までとなっていますが、新型コロナウイルスの影響もあり工事が遅れている事がどのように影響してくるか不安な中生活を余儀なくされています。
今一度、こうした被災地の現状を見つめ直し、今後の防災・減災、また被災時の対応について考える事が重要です。
熊本震災による熊本城の被害
被災地に火が無く炊き出しができない。
被災地の地元ガス会社は契約中の顧客復旧に追われてしまい多くの方が避難所に集まる中、現地より当協会宛にガスがない不便さの声が届きました。
炊き出しが行えている避難所を探して様子をみてきました。
嘉島町立嘉島西小学校の炊き出しの様子
父兄の方々などが力を合わせて炊き出しをされていました。
当協会では、避難所に火が足りない事でお困りの方々に何かできないかと模索し、乳幼児にミルクを温める為のアウトドア用品でカセットボンベを使って簡単に火が使えるようになるバーナー器具とカセットボンベセットをお届けしました。
被災地へガスが供給可能になるのは、被災地のガス会社ではなくお隣の鹿児島や福岡からの提供が考えられます。
しかし、プロパンガス会社へは保安上の規定があり、県を跨いで供給するには都道府県知事の許可が必要であったり、営業所から20Km~30Km以内での供給となっていたりと安全確保の為のルールが厳しくひかれています。
こうしたルールが足枷となり、被災地へ手を差し伸べる事ができない問題が発生していました。
被災地の情報管理の問題
避難所の掲示板の様子
これらは被災者側では対応ができない行政対応の問題点です。
どの避難所にどんな物資があり足りてない物資が何かを行政側が把握していない状況でした。
どこに確認をすれば良いか、連絡をたらい回しにされ、情報統制が取れていない印象です。
これでは、被災者の声を正しく拾って適材適所に的確に対応する事が困難である事がわかります。
万が一の災害に備えて行政側の体制強化が必要であると肌で感じました。
ボランティアセンター受付の様子
ボランティア活動車輛の登録や許可が必要になり、簡単な手続きが必要です。
ボランティアセンターにも多くの支援物資が届けられていました。
ガス業界で推奨される災害用バルク供給システム
学校や病院など大型施設に対してバルク供給システムによるGHPなどの仕組みが勧められております。
これらは、空調設備を回す事や電源の確保に役立ちます。
国や自治体に頼る事なく、各ご家庭での対策は必要な時代です。
防災意識を高めて、特にお子さんがいるご家庭世帯は想定して動く事が求められています。
しかし、予算が大きくメンテナンスも必要で需要数の頭打ちが懸念されており、一般家庭にも普及するようなポータブルな仕組みや製品開発に期待しています。
熊本地震被災地の現地対応
避難所で支援物資を渡した時の様子
乳幼児の方へバーナー器具とカセットボンベセットを5セットお渡しする事ができました。
生まれて間もない幼い赤ちゃんなどを抱えているママさん方のお手伝いに絞って支援にいきました。
自衛隊の活動
自衛隊の対応力には驚きました。
各所で衛生面を保つ意味合いと安らぎを与える意味合いがあったと思いますが、お風呂の湯船設備を整えていました。
自宅前でのテント生活者達
写真家が倒壊した訳でもなく地震の恐怖心から自宅へと戻る事ができなくなったPTSDの影響も深刻であると感じました。
車中泊が増え、エコノミー症候群も多くいらっしゃると伺いました。
小さなお子さんがいるアパート前は賑わっていましたが、トイレやシャワーを浴びに自宅へと戻る時の恐怖心を語ってくれました。
余震が続き自宅前の駐車場で生活している方々の苦労を拝聴する事ができ、復興する為の被災者の心のケアの重要性を感じます。
すぐにお湯が温められるよう、お子さんもたくさんいらした駐車場グループへもバーナー器具とカセットボンベセットをお渡しする事ができました。
プロパンガス協会の支援物資
被災地から当協会にきたご相談
ガスの復旧作業を望まれている方もいらっしゃいましたが、一番対応ができなかったのは避難所へのガス供給です。
被災地に物資が届けられるが、それを調理する事ができない為、食材を腐らせてしまうといった問題です。
電気も満足に賄う事ができていない学校の体育館で生活をされている方々も多く、炊き出しの為のガス供給は重要です。
こうした供給体制の仕組み作りを自治体とガス会社がしっかりと連動し、災害時に迅速に対応できるよう予め体制を作る事の必要性を感じました。
プロパンガス業界が取組むべき震災対策
災害時は迅速に顧客復旧を目指すガス事業者達は素晴らしく、対応能力にも優れていると思います。
しかし、上記のようにガスが求められる避難所への供給体制がシステム的に構築されていないと感じます。
保安距離などの問題点を抱えながら、他県から助けに来れない事情を緊急時には緩和する方向になればと強く思う次第です。
バルク供給システムの導入を進めると共に、各ご家庭でできる案内を強化し、消費者の皆様の安心を強める事ができるプロパンガスは電気に対する代替え策にもなり得ます。
ガスで自宅の電源を確保できる為、「エネファームの導入」や「自家用発電機」の導入も注目されています。
太陽光と蓄電池システムを利用する事で、自然エネルギーからの蓄電を可能とし災害時には非常に役立つとされていますが、一方では持ち運ぶ事ができない為、万が一自宅が倒壊した場合には対策もむなしく使う事ができません。
ポータブルで持ち運びにも便利な製品などスマホや携帯電話を充電できると良いかもしれません。安否確認の連絡などでもこのご時世ではスマホがいち早く情報をキャッチできると言えるでしょう。