ニューヨーク市場では、１バレル＝２０ドルを一時的に下回る下落をみせ世界中が驚く安値を打ち出した。なんと18年ぶりの低水準となった。新型コロナウイルスの影響拡大はエネルギー業界の体制を確変させる程となり株価にも影響している。
各メディアが報じている内容では、アメリカのシェール業界の抑え込みとロシアとサウジアラビアの三つ巴になっていると報じられているが、果たしてそうなのだろうか。
シェール業界潰しが失敗に終わった過去からもそれは定かではないとされているが真相はわからない。※関連ニュース：【原油下落に拍車!!日量400万バレル増産】サウジ・米国・ロシアの戦いでLPガス価格へ影響
LPガス業界への影響が大きく出てきているので、実際の数字をご覧ください。
| LPガス輸入価格表（合成CP） | プロパン（ドル／トン） | ブタン（ドル／トン） |
|---|---|---|
| 2017年4月 | 455（ドル／トン） | 545（ドル／トン） |
| 2018年4月 | 477.5（ドル／トン） | 467.5（ドル／トン） |
| 2019年4月 | 502.5（ドル／トン） | 527.5（ドル／トン） |
| 2020年3月 | 467.5（ドル／トン） | 512.5（ドル／トン） |
| 2020年4月 | 330（ドル／トン） | 360（ドル／トン） |
※合成CPとは前月と前々月のCP価格を足して２で割った数値。
※最近では75%合成CP＋モンベルビュー市場25%で構成する事が増えてきました。
お分かり頂けるだろうか。非常に下落傾向にありプロパンCPは2017年より125ドル下落しブタンは185ドル下落している。
それだけ輸入価格が安価となり、ガス会社は値下げせずに価格維持をするだけで利益を大きく更新する事ができるといえる。
そこにはガス会社の様々な思惑が交錯している。
【懸念】原油価格がプロパンガス価格へ影響
このまま原油価格に影響が出れば様々なしわ寄せが引き起きる。
消費者にとっては一時的なガス料金の値下げ対策が期待される中、ガス会社側は楽観視できない。
その理由は、大暴落を迎えた時にどこまでの水準で料金を安定化させるかは各社に委ねられており、見極めが非常に難しい。
原油価格がまた安定期を迎え下落から高騰し始めた時に値上げせざるを得ないが、値上げには一定数の顧客からクレームが入る実態がある。
クレームならまだしも解約数が一定数出てくるのは大きな問題といえる。しかしCPが下落傾向になれば値下げ対応を余儀なくされる。
値下げ無ければ時勢に伴う体制にはならず、値下げからの値上げは解約数を呼び込む。
まさに激戦している消費者獲得合戦のエネルギー業界全体の問題かもしれない。
輸入価格が安価なこの時期に値上げ！？
こうした値下げ風潮が市場からも読み取れるプロパンガス業界ですが、まさかの値上げの報告が寄せられた。
先月10円程の値下げ実施を中部エリアで確認したが、東北エリアでは値上げの確認がされた。
一体どういう事なのでしょうか。
もちろん全ての消費者が値上げされている訳ではなく、値下げされている方がどちらかといえば多いのかもしれません。
しかし、実際に原油価格が落ち込むこのタイミングで値上げするのは悪質といえる
不透明な自由料金制度
プロパンガス事業者は各社に料金設定が委ねられているが、悪質なガス会社が大手を含めて乱立している業界。消費者への提供価格にどう影響させるかはガス会社側の課題となる。
これまでのガス会社の営業手法をみれば一目瞭然であり、料金格差はまだまだ埋まらない。
人間関係や地域密着型で顧客との距離を縮める動きが目立っている。
茨城県のご相談者さまの事例では、ガス料金が高くて困っているが、ご近所付き合いだからとそのまま継続をすると判断された。
昔からのお付き合いとした裏ではガス会社が暴利ともいえる高額な料金設定をしている。果たして本当に良いお付き合いなのか疑問が残る。
原油下落に期待する消費者の声
あまりにも高いプロパンガス料金の安定化は消費者からの切なる願いといえる。
当協会には、全国各地から日々料金相談を受けているが、特に東北や北海道は高いガス料金を一般化させる傾向にあるといえる。
関東地域と比較すると平均的な請求額は約1.5倍ほどになっている。では、管理費や運搬費が1.5倍かというとそうでもない。
つまり利益幅を確保する水準が高い事を示している。
人間関係やさまざまな理由付けて高いガス料金を貪るプロパンガス会社は消費者から信用されていない事に気が付かなければならない。
「都市ガスは安くプロパンは高い」といった構図も一般的だが、それを創り上げた業界の問題点に消費者が気が付かなければ改革は訪れない。
※関連ニュース：【原油価格が急落】LPガス価格にも新型コロナウイルスが影響！？
