消費者にとっては都市ガスの方がメリットが多いと言われていますが、実際のところはどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあるかを詳しくご存知の方が少ないと思います。実際に当協会まで都市ガス物件をプロパンガスに変えたいといったご相談も少なからず存在しています。
都市ガスとプロパンガスの違いは?
まずは、都市ガスとプロパンガスの違いについて解説していきたいと思います。
ざっくりと、分かりやすく言ってしまえば家の外にボンベがあるのかないのかの違いです。
ある方がプロパンガスでない方が都市ガスになります。
つまり、供給方法に違いがあるという事です。
プロパンガスの場合は、契約しているガス会社からボンベにプロパンガス(liquefied petroleum gas、液化石油ガスという石油を元にした燃料)を入れ、それを自宅に配達し、そのボンベから配管を通じて家庭内の機器にガスを供給するという仕組みになっています。
都市ガスの場合は、LNG(Liquefied Natural Gas天然ガスを元にした燃料)つまり天然ガスを契約会社などが配備した地下の配管網を通じて家庭のガス機器にガスを供給するという仕組みになっています。
他にも13Aと呼ばれる「都市ガス用プロパンガス」を供給する場合もなかにはあります。
プロパンガスがボンベからの供給で、都市ガスが地下から供給ということになります。
都市ガスからプロパンガスに変更する
都市ガスとプロパンガスの大きな違いは上記の通り成分の違いがありますが、一番の違いは料金の違いがあげられるでしょう。
消費者側の立場からすると使い勝手が変わる訳ではありませんので、生活実感としてはガス代が比較されやすいと言えます。
現在の契約
現時点で、プロパンガスの契約であるか、都市ガスの契約であるかを確認しましょう。
都市ガス地域でもプロパンガスは点在しており、プロパンガスだけの地域が年々減少傾向にあります。個別ボンベはプロパンガスであることが一目でわかりますが、簡易ガスや集中プロパンのような形式で供給されているプロパンガス物件もあります。
対象物件の確認
対象物件は5つの種類に分けられます。
自身の物件が以下のどの物件になるのか確認して下さい。
このように賃貸物件には一戸建てや集合住宅、店舗や工場など様々あります。
- 賃貸の一戸建て
- 賃貸の集合住宅
- 賃貸の店舗
- 自己所有一戸建て
- 自己所有集合住宅
ここで注意点!賃借人ではなく、ガス会社と契約するのは物件オーナーになります。
その為、賃貸物件でガス会社を変更したい場合は、オーナーの承諾が必須事項となります。
変更する目的は??
都市ガスからプロパンガスに変更したいという方には、必ず目的があるはずです。
この目的を、明確にしておく必要があります。
ここでは、目的の例をあげていきたいと思います。
- 飲食店を営んでおり、都市ガスより火力の強いプロパンガスに変更したい
- 無償貸与などのサービス面からプロパンガスに変更したい
- 災害時に復旧が早いプロパンガスに変更にしたい
- 集合住宅のオーナーで物件の設備投資を無償、または安価に抑えてくれるプロパンガスに 変更したい
上記のような理由を元に、プロパンガスに変更したいという方が多くいらっしゃいます。
供給設備と消費設備の変更
気が付きにくいのは、同じ様で異なるガス機器の違いです。
使い勝手はどちらも同じですが、ガス成分の違いからも各ガス機器の器具は都市ガスとプロパンでは仕様が異なっています。
その為、プロパンガス使用へ器具変更が必要となってきます。
供給設備とは??
都市ガスから、プロパンガスに変更するという事は、配管を変更しなくてはなりません。
上記の都市ガスとプロパンガスの違いで説明させて頂いている通り、地下からの供給を地上のボンベに変更する必要があるという事です。
このボンベから家の外壁までのガス管が供給設備というわけです。
都市ガスでもプロパンガスでもどちらでも利用できる配管が増えている為、配管を全て取り換える必要はないと考えられます。
消費設備とは??
家で使用されている・給湯器・湯沸かし器・ガスコンロ・ガス機器など、供給設備まで繋ぐガス管の事を、消費設備といいます。
上記の配管代と工事費が初期費用として必要になります。
(消費設備は、両方に対応しているものもある為変更する必要がない場合もあります。)
変更する前に確認しておくとよいでしょう。
切替のガス会社を選ぶ
都市ガスからプロパンガスへの切替で一番重要になるのはガス会社選びです。
都市ガスに変更したい特に集合住宅の大家様・オーナー様は注意が必要です。
それは、一番ご相談者が多いのが集合住宅といった実績からもわかってきていますが、契約時だけガス会社の料金や条件が良くても後々の値上げによって苦しんでいる入居者からの声が多く届いているからです。
ガス会社はどのガス会社でも選べる訳ではありません。
都市ガスからプロパンへの切替対応に積極的ではないガス会社が数多く存在しています。
また料金以外にも最低限の条件を満たす必要があります。
- プロパンガス会社の供給エリア・保安距離
- プロパンガス会社は保安ルールをクリアできる保安距離が定められています。その為、選ぶプロパンガス会社は供給エリアである事が条件です。
- 現在の都市ガス会社から切替可能なガス会社
- ガス業界は非常に癒着・談合が色濃く出る保守的な業界です。
- 最近では都市ガス自由化に伴い、都市ガス事業者との関係が多くなってきており、業務的な関係が深い場合、切替対応してもらえないケースが実際に起きています。契約者や消費者が自由に選択ができない事は大きな問題です。
ガス会社による現地調査
都市ガス物件の場合、必ず現地調査が必要です。
実際に物件の状況を確認しなければ、供給できるかわからないのがプロパンガスです。
ボンベ設置スペースの確認
それは、もともとプロパンガスから都市ガス物件に変わっている状況であれば比較的に対応し易いのですが、個別ボンベを設置する為、ボンベスペースが必要になります。室外機の位置など供給可能な物件であるかを事前に調査する必要があります。
提案するガス料金を決定する
ボンベ設置が可能と判断され、次に確認していく事は利用するガス機器やサービス内容です。
ただ単純にプロパンガスにしたい場合もあるかもしれませんが、多くの場合は都市ガスよりもサービスが良い事からプロパンガス会社への変更を要望する方が多い印象です。この場合はサービス内容のすり合わせが必要です。
ガス会社は、求められるサービス内容に適した料金をご提案していきます。
切替工事・契約について
現地調査が終わると契約内容を確認します。
例えば、住宅設備機器の無償貸与をお願いされた場合は、それらが契約内容に盛り込まれる内容となります。
長くお付き合いされるガス会社になりますので、契約を結ぶ際は慎重に内容を確認していきましょう。
ガス会社によって違う契約内容
契約内容は各ガス会社側で定められた契約書に基本的には従う事になります。
契約後に契約内容に言及する事が難しい為、しっかり確認し内容を理解していきましょう。
全ての内容を理解するのは専門的な知識も必要になり判断が難しい事もありますので、不明な点などがあれば当協会ではアドバイスも行っております。
契約内容の注意するポイント
一番気にしなければならないのは、設備貸与契約が含まれている場合です。
無料や無償といった言葉で即決されてしまう方も多いのですが、後々ガス会社を変更したくなった時にこの契約が邪魔をしてしまうケースが多々ございます。
一戸建ての場合は10年契約が一般的です。
集合住宅の場合は15年契約が一般的です。
無償や無料といった言葉が使われる事が多いのですが、実はプレゼントする訳ではありません。イメージとしてはローンを組むようなものです。
貸与契約期間で必要な設備機器代はお支払いする内容となっています。
都市ガスからプロパンガスへ変更する場合、お金をかけずに変更するには良い契約ですが、しっかりと料金的な問題をクリアしないと後々の値上げに苦しみガス会社を変更しにくい状況になってしまいます。一番は都市ガスとの料金差が激しすぎて住みにくい物件になってしまう事です。
まとめ
ここでは、都市ガスからプロパンガスに変更する際の、順序や注意点について説明してきました。
様々な理由でプロパンガスの方が良いという方も多くいらっしゃいますが、料金を安くしたいという理由の方もいらっしゃいます。
この場合は、料金は都市ガスの方が安価なことが殆どなのでおすすめ出来ません。地域によっては都市ガスの料金も様々で、当協会の最安値のプロパンガスの方が安くなるケースもございます。都市ガスもプロパンのように業者や地域によって価格が違います。ガソリンスタンドのように場所によって価格が違ってきます。
上記でご紹介した理由などが当てはまる方は、是非切り替えをご検討してみて下さい。
もちろん当協会では、都市ガスからプロパンガスへ切替検討されている方、特にアパートやマンションの大家様から多くのご相談をいただき、解決に導いてきた実績があります。
ご検討されている方はお気軽にご相談下さい。